衣育(いいく)
2005年4月から、2年半にわたり、
子どもの「衣・ファッション」を多面的に捉え、
「衣育」を考えていくきっかけや実践につながるような情報を交換する場として
『子どものファッションを話そう!−衣育の提案−』
チャイルドリサーチネット(CRN)に開設し、様々な方と意見を交換してきました。

※このページはそれらをまとめたものです。

※衣育について、2005年6月17日朝日新聞(朝刊)で取り上げられました。




衣育(いいく)とは

ここ数年、「食育」という言葉は、よく聞くようになりましたね。では、「衣育」という言葉はどうでしょうか?正直、まだ耳慣れない言葉かもしれませんね。
人は、毎日食事をとるように、毎日着る服を選び、着替えをし、生活をしています。衣服は、我々の生活において色々な関わり方をしています。衣服がどのようなことに関わっているのかを考えることで、食べるものに気を使うのと同様に、着るものにも気を使うなど、「衣」のリテラシーを育むことも、とても大切なことなのです。

例えば、子どもにとって「着飾る」とは自己表現の一つです。おしゃれをしたい気持ちは子どもの発達の過程ともいえるでしょう。でも、おしゃれにばかりお金をかけることは実際には出来ません。手作りをすることを含め、ファッションには工夫も必要です。また、アレルギーなどの体質で、服の素材に敏感にならざるを得ない人もいることでしょう。
衣服には、とにかく様々な役割があるのです。装飾的役割、社会的役割、精神的・心理的役割、衛生的役割、健康的役割、防護的役割、運動的役割・・・など、とにかく多くの役割があるのです。図に示したように衣が関わる因子(実際はもっとあることでしょう)は多岐に渡るのです。また、それら因子は相互に混沌と絡み合い、衣を通じて我々の生活に深く関わっているのです。
 これらのことを、自身の生活のシーンに当てはめて考えてみれば、衣服が生きている中でどれだけ必要かつ、大きな役割、多岐の関わりをしていることに気付いて頂けたことでしょう。だからこそ、衣服に関わる育みは、とても大切なことなのです。


衣育の視点から考える、服のリサイクル

服のリサイクルと聞いた時、みなさんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。
一言に、服のリサイクルと言っても、色々な形がありますよね。例えば、買ったものの一度も着ないままの服をリサイクルする、何度か着たけれどそろそろ飽きたのでリサイクルする、子どもが成長して着られなくなってしまったのでリサイクルする等々。
これらのリサイクルは、服を服のままにリサイクルしていますが、服から別の物へリメイクしたり、服の生地やボタンだけを何かに使ったりと服の場合は色々なリサイクルの形がありますよね。
さらに言えば、服そのものがリサイクルされた繊維(例えばペットボトルから作られた繊維)で作られている服もありますよね。

リサイクルと聞くと、近年広まった感じを受けますが、実際のところ服は昔からリサイクルされ続けてきたものです。兄弟姉妹間のお下がりや、近所の子どものお下がりもあったことでしょう。また着物にしても、親子代々で着たり、成長とともに、あげを直して着るなどの造形の工夫があったりします。そして長く着た後も、大事に活用していく方法として、着物をほどいた布をはぎ合わせ新たなものとして使うことがされてきたように思います。
それが、近年では流通や通信の変化からリサイクルはシステム化され、他人同士での交換がより円滑となり、これまでの家族間、地域間の狭い範囲だけで交換が行われるのではなく、広範囲に行われるようになったのが、リサイクルショップ、オークション、フリーマーケットなどの形と言えましょう。

 最近はものを大切にする気持ちが薄れてきているように感じます。それは、子どもにおいても大人においてもです。無論、大人が、社会が、ものを大切にすることをしてこなかった結果として、子どもにそうした心を伝承する機会が失われてきたのでしょう。
 以前、掲示板に継ぎ当てについて書き込まれたことがあります。それは『40代の母親が、小1の息子さんに継ぎ当てを行ったズボンをはかせて学校に登校させところ、担任の先生からイジメの対象になるといけないから、継ぎ当ての無い服が良いと言われた』という書き込みでした。
 おそらく、担任の先生の目から見て、継ぎ当てはイジメの火種になりそうなことに映り、未然にイジメを防ぐ目的があったことは否めません。ですからこの話における先生の判断は正しかったのかもしれません。ですが、ものを大切にする視点から言えば、継ぎ当ては、子ども達にものを大切にする心を育む絶好の教材にもなり得たわけです。
 今日もったいない≠ニいう日本語がその発音のまま世界に向けて発信されています。衣を通じても、ものを大切にする心を子ども達に育むことはとても大切なことなのです。

 リサイクルせずに破棄すれば、その時点で服は服ではなくなりゴミになります。リサイクルすればそれだけゴミを減らしているわけですし、破棄するならばどのようなゴミなのかを判断しなければなりません。服の素材は、天然繊維のものもあれば化学繊維のものもあります。ということは、自然環境に優しい素材なのか、優しくない素材なのかという衣の育みも大切だということが分かりますね。自然環境に関して言えば、制作過程においても、言えます。例えば天然繊維の綿であっても、その綿花を育てる時に、農薬の使用の有無、繊維にする時、布にする時、どんな染料を使用するのか、加工を行うかによって、化学薬品の使用の有無があります。
こうしたことを知り、何が大切で、どうしていくべきなのかを衣を通じて育むことも大切なわけです。


服を選び着るということ

 服を選び着る時の基準は、どんなことでしょうか。デザイン、形、色、素材、動きやすさ、手入れのし易さ、価格・・・人それぞれ様々なこだわりがあることでしょう。
 服は、自己表現やコミュニケーションの役割を、多く担っています。服を選ぶということは、同時にその服を着る自分がどうありたいのか、どう他人に見られたいのかを選んでいることになります。着る服によって、楽しい気持ちに
なったり、自信が持てたりすることもあります。
 特に子どもの場合、親が選ぶ服着ますね。つまり、知らず知らずのうちに、親は子どもに、こうあって欲しいという気持ちを服を通じて与えているわけです。例えばそれは、男らしい女らしい、活発であって欲しい大人しくあって欲しいなどです。
 また次のような話もあります。『子どもに向って、「今日のお洋服可愛いね。汚したら大変ね」と言いました。するとその日、子どもは、普段は泥まみれになって遊ぶのに、泥遊びを嫌がりました。親は不思議に思い、子どもに泥で遊ばない理由を尋ねました。すると、子どもは、「汚しちゃいけないから」と、服が汚れることを気にして泥遊びをしなかったことが分かったのです』
 この場合、近所の人に、自分が着ている服を誉められたことと、汚したら大変という言葉に子どもが反応し、服を汚してはいけないと思う気持ちによって、心理的に子どもが元気に活発に遊ぶことを妨げてしまったのです。子どもが服を汚れることを気にして、行動を自制することは1つの成長とも取れるかもしれませんが、元気に活発に身体を動かして遊ぶことで得られる発見も大切です。
 これに関しては言葉も介してはいますが、服によって意識や行動が作られていることは多いのです。

 これは、ブランドの服においても当てはまります。特に、リサイクルされる服には、ブランドのものも多いですよね。
ある小学校で、ブランドの服に関してこのようなやり取りがあったそうです。『小学3年生の女の子がブランドの服を着て、学校に登校したところ、担任の先生から「学校にはブランドの服を着てこないように」と注意されたのです。理由は、子ども同士で競ってしまうからとのことでした』
 なぜブランドの服だと子ども同士で競うのか。ブランドの服とそうではない服の違いは何か。ただ流行っているからとか、このブランドを着せたい、着たいではなくて、なぜブランド服を着たいのか、着せたいのかを考えて見て下さい。問いてみる、考えてみる、これが衣育にとって大切なことです。この話の場合で言えば、なぜ子ども達は競うのか、何に対して競うのか、子どもにとってブランドとは何なのか、他人からどう見られたいのか、どう見せたいのか・・・など色々考えられます。
子どもがおしゃれに関心を持ち始めて、他人からの評価を気にするようになったり、こんなブランド服を着たいと願う自己表現や自己主張の気持ちが芽生えたりすることは、心の成長の表れかもしれませんし、あるいはブランドに頼らないと、他人からの評価、承認が得られない、自己を表現、主張出来ないことの表れかもしれません。


衣育は問うことから

 衣育は、衣をどう解釈するかだけではなく、衣をどんな視点からどう問うかで育まれます。また、どう問うかによって、育まれていくべきことが多岐に多様にあることが理解頂けることと思います。様々なことに関わりのある大変身近な衣、その衣に関しての育み、衣育が大切だということを少しは感じて頂けたでしょうか。ぜひ、これから衣育を意識しながら生活をしてみて下さいね。


『子どものファッションを話そう!−衣育の提案−』

2005年4月から、2年半にわたり、
子どもの「衣・ファッション」を多面的に捉え、
「衣育」を考えていくきっかけや実践につながるような情報を交換する場として
『子どものファッションを話そう!−衣育の提案−』
チャイルドリサーチネット(CRN)に開設し、様々な方と意見を交換してきました。

※下記は、それらからの抜粋です。
(現在工事中)
















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